そこで彼は見てしまいました。
 美しい妖精の姫がその身体を、炎の魔法剣士の腕にあずけているのを。
 咲いたばかりの花のような唇を、男にむさぼられるままにさせて、ぶらんこの上でいつくしみあっているのです。姫の白い肌は悦びにほの紅く染まっていました。着物をはだけさせ、開いた腿のあいだの秘密の場所にまで、姫の不埒な恋人は舌を這わせました。そして、姫は嫌がるどころか、鈴を転がすような愛らしい声を洩らすのです。
(あ、あいつ、なんてことを……)
 赤い瞳は門のバリアに拳を叩きつけました。どうやら、ふたりは愛し合うことに夢中で、外のことなど忘れてしまっているようでした。
「はやく」
 姫が甘い目をしてささやきました。魔法剣士は陶酔しきった表情で、姫を膝に抱え上げます。逞しい腕で姫の細腰を持ち上げると、思わず息を飲むほどに立派な持ち物を、姫の柔らかな身体に突き立てました。
「俺の可愛い小鳥……これで満足か?」
「……素敵、あなたの…こんな奧にまで……」
 とぎれとぎれに姫は言いながら、恋人と見つめ合いました。そこには絶対に誰も割り込めないであろうことを、見ていた者は悟りました。熱っぽい視線をからめ、吸い寄せられるように唇を合わせると、ふたりはもう言葉もなくおたがいを味わいはじめました。


 赤い瞳は、悲しみと屈辱とで胸がいっぱいになりながらも、大きく目を見開いてその光景を見守っていました。このようなありさまを初めて見たので、頭の中は爆発しそうでした。自分が本当に子供だったことを悟り、このことで魔法剣士に勝負を挑むのは無謀だなと深く納得しました。
(だって、なにあれ、馬並みじゃねーの?)
 毒づきながら彼は誰もいない場所へ行って少し泣きました。そして、自分のまだとても可愛らしいとしか言えない身体の一部にそっと触れてみました。