さて。
 妖精の姫の騎士となった少年は、赤い瞳、という通り名を戴き、天までとどく階段と頂上の門を守護することになりました。
 妖精の姫は彼に言いました。
「いずれあなたは、倒さねばならぬ敵と出会います。それまで心して腕を磨いておくように」
「どんな敵ッスか?」
「3匹の使い魔を連れた、黒い王妃です。でも、今は考えなくてよろしい。他の守護の者たちと、仲良くおなりなさい」
 彼の倒した使い手たちが、階段の下でめいめい、挨拶を述べました。
「てめえ、気にくわねえけど、負けたからしゃーねーや」
「強い者は認める」
 赤毛と黒い男が言いました。氷の瞳の僧侶は黙って丁寧に礼をします。眼鏡の司祭は、
「手は大事ありませんか? 可哀想に」
と、治癒の呪文をかけてくれました。
「君の速度と敏捷性はなかなかだね。アビリティバランスを見るに、持久力と精神性をもうちょっとがんばって、レベルが上がったらクラスチェンジするといいよ。マジックナイトになって、こいつと反対属性の氷を取ればいい」
 彼のデータが書き込まれた宝珠を透かして見て、魔道師はすらすらと言いました。赤い瞳は「はあ」と恐縮しました。
「……あなたは?」
 妖精の姫は、傍らにいる魔法剣士を振り向いて言いました。魔法剣士はぷいと顔をそむけました。
「挨拶なさい」
 姫が少しきつく言いました。すると魔法剣士はしぶしぶ向き直って、
「俺に勝てると思うなよ、餓鬼が!」
と、怖い顔で言いました。姫は「まあ」と顔をしかめました。
「仲良くして。その子はこの門を継承する人ですよ」
「知らん」
 赤い瞳は少々あっけにとられました。ずいぶん偉そうな人だなと思ったのです。魔道師が顔を近寄せて、
「いつもああだから気にするな」
と、笑って耳打ちしました。