相変わらず丸井と赤也は派手な声を上げて泣いていた。
 病院の看護婦がやってきて、
「そろそろここを締めるから……」
 と辛そうな顔で俺達にそう告げた。
 とっくに面会時間は過ぎていた。
 俺は頷いて立ち上がった。
 しかし丸井と赤也は立ち上がらない。
「嫌だ!!俺はここにいる!!!」
「ブン太…俺達がここにいても仕方ない……」
 桑原が腕を引っ張るが、丸井は首を振る。
 看護婦が困った顔で俺達を見る。
 俺は無言で二人に近づいて、赤也と丸井の頬を平手打ちした。
 派手な音が二回して、赤也と丸井が悔しそうな顔をする。
 「行くぞ」
 看護婦の顔は驚いていたが、軽く一礼して、待合室を出た。
 みんな、仕方なくずるずるついてくる。



 冬の夜は寒かった。丸井と赤也は相変わらず抑えることなく泣いていた。
 駅までの道のりの途中で神社があった。
 「お参りして行こう!!」
 と突然、丸井が叫んだ。
 「もう神様にお願いするしかないじゃん!!!良いだろ!!!お参りくらい!!!」
 駄々を捏ねるように丸井が俺に訴える。
 「………まぁ……良いだろ」
「やった!!」
 丸井がガッツポーズを作り、神社の中に走って行く。