「赤也のヤツ、うれしそーにレンレンと手なんかつないじゃって、笑っちまうよなあ」
 俺が買ってきてやったクッキーアイスをもぐもぐやりながら、ブン太がつぶやいた。俺はなんとなくリアクションに困った。お前はそう言うけどな、あれはあれで、あれなりに一生懸命なんだから、ほめてやれよ。
 っていうかうちって、マジでおかしな感じになってきてるな…冷静に考えてみると、なんで男ばっかでディズニーランド来て、2人ずつに分かれてんだ、俺達? 真田と幸村は最初っからああだからいいけど、気づいたら仁王が柳生とそういうコトになってて、いつの間にか赤也までちゃっかり…まあ、実際のとこどうなってるのか知らねえけど、なんだかそんな感じになっちまいやがって、どうなんだうちの部? よその学校から「ホモの巣窟」とか「神奈川BL王者」とか陰口きかれてるの、分かってるのかあいつら? …といっても、部長と副部長があれなんだから、言い返そうにも説得力ねえよなあ。あーあ。
 変わった学校だよ、まったく。でも、もうすっかり慣れちまった。いいんだか悪いんだか…幸い、取り残された俺とこいつも、気は合ってるから、まあ、いいかなって。遊びに行くなら女子に気を遣いながら行くより、気兼ねしない奴とのほうがラクだし楽しいしな。ブン太はワガママだけど、さっぱりしてるからつきあいやすいしさ、助かるよ。
 こいつが女だったら、都合がよかったんだけどなあ。顔だって結構愛嬌あるしさ、ってオイ、俺までホモの牙城に取り込まれてどーする!
「ねーねージャッカル、俺、あれ食いたい! 乗ったら食おう!」
 スペースマウンテンに並んでいたら、ブン太がピザの店を見つけてはしゃぎ始めた。べつにいいんだけど、さっきから俺達、なんだか食ってばっかだな。